一宮町『農業フォーラム2020』にて講演

私は、現在一宮町にて水耕栽培でリーフレタスを栽培し、『若い力で新しい農業を』をテーマに活動させていただいております。この一宮町で育ち、一宮町で成長させていただきました。そんな一宮町に恩返しをしたい!そんな気持ちから、5年前の12月に、   株式会社ファーストライフ として起業しました。
会社名の由来も、一宮町のイチからファーストとつけさせていただき、『一つの命』また『一人一人の生活を大切にしたい』と、そんな思いから『ファーストライフ 』と命名しました。そんなファーストライフも苦難を乗り越え、皆様のお支えもあり6期目となりました。
その中で生産農業法人として、感じた事や経験した事をお伝えしていきたいと思います。

現在での活動内容は、ハウス内に水耕栽培のプラントを導入してリーフレタスを栽培しています。一宮町の特産品となりブランド化し『マルヒメレタス』として、千葉県内のゴルフ場や大型ホテルのレストランを中心に販売しています。
特徴としては、農協や市場に頼らずに直接営業を行って販売先を確保して、生産から販売、運搬までを行っています。
一宮町の『認定農業者』となり、『人・農地プラン』にも選出されて、これからの農業を弊社から盛り上げていければと感じております。
また千葉県の『ちばGAP』という認証をいただいております。実際に令和元年度資料によりますと県内で40ほどの事業者が認証されていますが、私達もその一つとして、ちばGAPの取り組みを継続しております。今年の10月で更新3回目となりましたので、お客様・取引先また従業員が安心していただける、商品や環境を常に整備させていただいております。『ちばGAP』とは、何かと申しますと食品安全・環境保全・労働安全に適切に取り組んでいると、千葉県が定める基準(約110項目)に全て適合し認証されたということです。

2・農業を始めた理由

未経験の私が、なぜ農業を始めたのかと申しますと、私の実家は元々が専業農家だったからというのが大きいかもしれません!
その中で実家の農業は、10年以上稼働しておらず、温室ガラスハウスは老朽化され廃墟と言わざる追えない状態でした。
若い時には農業に参入するとは、思ってもいませんでした。
そんな私は、一冊の書籍を出版させていただいております。題名は『失敗力 こんな私もできる農業法人』です。(書籍を見せる)
『失敗力』この題名の通り、私は若い時に大きな失敗をしました。失敗の内容は別として、自分のことを見直すことが多くありました。
『まだまだ長い人生これから何をしていけば良いのだろう!?』『失敗ばかりしていて、結局何をしたいのだろう!?』と自問自答を繰り返しました。    その中で、決めたことは、『行動して何かを変えられる人になりたい!!』という答えが見つかりました。自分にできること、それは、元々実家が行っていた農業しかありませんでした。そして農業を調べていくと、そこに大きなチャンスがあることを知りました。
当時の私は、農業に対しての知識はなく、経営など、わかるハズもありません!!そんな状態ですが『絶対やってやる!』『変える人になりたい!!』とその気持ちだけで一宮町に戻り起業することを決意しました。
実際にそこから、ちょうど5年という月日が経ちます。今、この場で皆さんの前で、この様なお話ができることを、とても光栄に思います。
思い返えせば、老朽化した900坪の温室ガラスハウスを一人で解体し続けた日々・新たな水耕栽培のプラントを作るために、使い方すら分からないパソコンで書類を作り続けた日々が昨日のように思い出されます。
私が、現在でも農業を行えていることは、皆様がアドバイスまた御支援くださったからです。農業に参入し皆様のお支えがあってこそ、今があるのだと実感しています。
本当にありがとうございます!!(一礼)

3・将来の農業の展望

農業における現状は、少子高齢化の影響により、若い農業者不足が深刻な問題となっております。  数年前の資料からですが、日本の人口について2011年から減少に転じ、現在では約1億2,655万人、2050年には、9,515万人になると予想されています。(30年で3,300万人が減少するということです!!)
千葉県の基幹農業従事者数は、50歳以下が12%・60歳以上が76%と若い農業者不足が深刻化し、それに伴い耕作放棄地も高齢者の引退と同時に急速に拡大しています。
平成27年の調査では、千葉県の耕作放棄地が19062ヘクタールにのぼり、全国的に見ても増化傾向にあります。
この状況の中、私達ファーストライフは、『人と農地の問題解決に貢献する!!』という目標を掲げております。

この数値を踏まえた上で、私の今後の農業市況の見解を述べさせて頂きます。
高齢農業者の引退により、耕作放棄地が増大し大企業が農業に参入して来るのではないかと予想しております。
(そして実際に現在でも、全国区の大企業が参入してきております)。
だからこそ雇用形態中心の農業が主流となり、今までの様に専業農家としてではなく、地域また企業が一体となった農業形態に移行するのではないかと考えます。
高齢者が引退し、この様な状態になっても若い農業者不足は歯止めとならず、対策として、農福連携という言葉がある様に農業と福祉が一体となり、互いの問題点を補える形態が活用され、同時に2019年4月より施行されました外国人雇用制度により人材不足は解決へと向かうのではないかと予想されます。それは、徐々にですが農業の人材不足を補う体制が整ってくるのではないでしょうか!!
(実際に私共も、千葉県の『農福連携推進事業』に立候補して、近々、お体が不自由されている方々が、どの様な仕事ができるのを、農場で試行する予定になっています。)
また外国人雇用制度は、農業の人材不足を補う制度として注目が集まっていました。申請や許可が複雑で全体の76%の高齢農業者には認知浸透されず、大手企業が参入後に外国人雇用制度を活用した農業が、徐々に活用されるのではないでしょうか!?
その農業者不足の影響もあり、時間とともに全体の野菜価格は高騰していくとも考えられます。
  また日本全体の食料自給率が50年前はカロリーベースで70%に対して、現在は38%と下がる一方です。
原因として食生活が変化し、外国産フードが普及した事からだと考えられます。そして5年後(2025年)までに、日本全体の食料自給率を45%とする目標が掲げられており、国内での食糧生産と食料消費する動きが活発化し、それに伴う地域への補助事業が多くなると予想されます。

現在は新型コロナウイルスの感染拡大の観点から情勢いは大きく変わってきておりますが、TPPの発行により国外野菜の参入で野菜の種類にもよりますが、打撃を受ける可能性があり、それに対しても農林水産省による補助金での農業保護が活発されると私は感じています。 そのような補助事業を地域が一丸となり活用して農業全体が盛り上がっていければと思っております。

この現状の中で、私達ファーストライフが、社会から求められることは、地域における人・農地プランの作成に大きく貢献し農地集積中間管理機構と連携して、耕作放棄地を集積また活用し、農福連携事業、外国人雇用制度の活用を視野に入れた地域の雇用の場を増やすこと、そして新規就農者の育成が重要な課題だと認識しています。 
 新しい農業としての育成方法は、栽培販売方法の知識の習得に加えて、経営力の習得・リーダーシップ・各制度の活用や申請方法また資金調達などを育成指導内容に取り入れて農業制度の理解活用ができる人材を育成していくことが重要です。この様なプロフェッショナルが、雇用形態中心の農業でリーダーシップを発揮していくのではないでしょうか!!
(私たちは、実際に農の雇用事業を活用して、セミナー生1名を二年間育成した経験があります。)

4・『人と農地の問題』の解決方法として!

「人・農地プラン」の作成につきまして、皆様の中にもご存知の方はいらっしゃるかと思いますが、補足として伝えさせていただきます。私自身もこの『人と農地の問題解決』は、大きなテーマだと認識し調べさせていただいた経緯があります。
実質化にあたり大まかな流れは、農林水産省よりマニュアル化されております。
人・農地プランの作成にあたり一宮町では農業者に対してアンケートを行っておりました。地域の農業者たちの後継者問題や今後の危機感また現状を把握する必要があると思います。
そして、地域ごとの農業者同士が集まり、率先して意見を交わさなくてはなりません!
地域連携推進員と議論し、その中で若い方々が率先して、『担い手はいるのか?』『農地利用や集積・集約は、どの様にやるのか?』『耕作放棄地の増加状況はどうなのか?』と話し合う場が必要です。
『地域と農業者同士また農地集積中間管理機構とが連携して問題を解決する』という話し合いから、全てが始まるのではないでしょうか!?
 そして農林水産省発行の補助金である、『人・農地問題解決加速化支援事業』を活用していくことが急務だと感じています。

5・最後に

私は、ゼロから農業法人を経営して感じたことは、『人と人』の関わりが本当に楽しく感じます。それは、レストランの料理長などと意見を交わし『最近野菜の出来は、どうですかね!?』などと意見を聞くと!!     
『みんな美味しいと言っているよ!!』と教えていただける。
また、近所のおばあちゃん・おじいちゃんが、集まり野菜の交換を行う、など日常のたわいのない事なのかもしれませんが、笑顔が生まれるって嬉しいですね!!
そして会社として責任を持ち、一つの目標に向かい努力し行動する事、様々な問題が発生して山あり谷ありですが、達成していくことは、とても成長を感じます。 この目標の先に、『私たちの農場を規模拡大する!』という大きな目標があります。私一人では、達成していくことはできません!!
パートナー達また地域の皆様からのアドバイスやご指導また協力があってこそ実現していくのだと感じています。
どうか今後とも宜しくお願いいたします。
そして今回のテーマである『人・農地プランの実質化』も実現できると思います。そのために、地域の枠組みに囚われず、農業の大きな問題を、理解し協調ができる環境が整備されればと思います。
最後に   若輩者の私の発表を最後まで、ご清聴いただき本当にありがとうございました。
     以上が私からの発表です。

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